なぜ絵画で「自分の頭で考える力」が育つのか?

こんにちは。
一社)日本アート教育振興会の三尾です。

さて、、、今日は

絵画で「自分の頭で考える力」が育つ理由

について触れてみたいと思っているのですが、
絵画と思考の関係のお話に入る前に、、、

まずは「考える」ということから触れてみたいと思います。

あなたも一度はこんな言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?

「ちゃんと、自分の頭で考えなさい!」

きっと賢明なあなたはこんなことを言われたことはないかと思いますが、

僕は特に若い頃、しょっちゅう親や上司からこんなことを言われたことを思い出します。

その都度、
「あ〜、自分の頭で考えるってどいういうことだろ。。。」


そう悩んだりもしてました。

今はその諸先輩方のご指導のおかげで、

「あ〜、今、自分の頭で考えていなかったな、怠けてたな、いかんいかん」

と自分でカツを入れるくらいまでには、成長してきました。

でも、逆に言えば、いまだに「自分の頭で考える」ことの難しさも感じている修行中の身です。

では、

「自分の頭で考える」

って、どういうことなんでしょうか。

そのことについてとてもわかりやすく書かれた本がありましたのでご紹介しますね。

その本にはこんな言葉が出てきます。


具体化と抽象化というのは、
「自分の頭で考える」ための方法論です。

〜中略〜

中学・高校・大学などの入学試験勉強は、
人生における基本的な知識や考え方を一通り学ぶ機会としては
それなりに有効なものであると思います。

一方でその最大の弊害は、
「問題には正解があり、知識量のみが優劣を決める」
という価値観が一生に渡って植え付けられてしまうことです。

具体⇆抽象トレーニング
思考力が飛躍的にアップする29問 p10~11
細谷功 著 より引用・抜粋


お〜、なるほど〜

「自分の頭で考える」というのは、いろんな方法があるとは思いますが、これはわかりやすいと僕は思いました。

「具体化と抽象化」

をすること。

具体と抽象を行ったり来たりする、、、、
ということかと思います。

じゃ、「具体化と抽象化」ってどういうこと?

と思われたと思いますが、

これまた、この本に書いてあります。


抽象化のための疑問詞の代表がWhyとすれば、具体化のための疑問詞の代表はHowです。

手段(具体の代表)と目的(抽象の代表)の関係を考えればわかりやすいですが、
手段から目的を考えるのがWhyで、目的から手段を考えるのがHowです。

いわば、WhyとHowは逆変換の機能を持っているのです。

具体⇆抽象トレーニング
思考力が飛躍的にアップする29問 p121~122
細谷功 著 より引用・抜粋


いかがでしょうか?

抽象化は、Why

具体化は、How

をそれぞれ問うことで生まれてくる、、、と。

「自分の頭で考える」ということが、結構わかりやすくなりませんか?

では、、、これを踏まえまして、、、

冒頭で触れました、

絵画がなぜ「自分の頭で考える」力を育てるのか、、、

についてもお話ししてみたいと思います。

例えば、、、

こんなことはないでしょうか?

美術館で、ある絵画を鑑賞してきました。
そこでの作品の凄さについてお友達に伝えようと思った。

その時に、
「あれ、すごくよかったよ〜、あなたも是非行ってみて〜」


そうお友達に伝えたら、

「へ〜そんなに良かったんだ〜!?どうよかったの?」

それに対して、

「ん〜、なんか作品数も多くてすごかったよ〜」

「言葉では伝えられないけど、いい感じだった〜」

「とにかく見てきてみ〜、すごくいいよ〜」

と答える、、、、

こうなる時って結構な割合であるのではないかと思います。


僕自身も「そう言われると、あれ、どんなだっけな?」みたいな時がしばしばあるのですが、

絵画に限らず、映画でも、演劇でも、イベントでも、アトラクションでも、、、人にその良さを伝える時って、

相手の方に臨場感と共に興味を持ってもらえるほどの伝え方ってできないことが多いですよね。
ぼやーっとしたことしか伝えられない、、、みたいな。

こういう時というのは、
絵画を見てきた感じでいますが、

実は、本当の意味であまり見てはいないのではないかと思うんですね。

でももしも、美術館で1枚の絵画をじっくりと思考を巡らし、同時に五感を使って鑑賞をしていたなら、

お友達にも具体的に伝えることができたのではないでしょうか?

お友達は、絵の感じをアリアリと思い描け、

あなたの感じた感動をも感じることができることでしょう。

そうです、きっとあなたもお気づきかと思いますが、

「1枚の絵画をじっくりと思考を巡らし、同時に五感を使って鑑賞」する、、、、

この時に、あなたの思考は、具体と抽象を行ったり来たりするわけです。

「ここにこんな人がいるな、、、(具体)」

「あれ、なんで犬がいるんだろ。。。(具体、抽象)」

「あ、、、外が明るいな、、、(具体)」

「あ、、、この作者はこういうことを描きたかったのかな(抽象)」
「この作家の描き方はこういう技法を使ってるんだな(具体)」

「私は今、こんな感覚を覚えてるな。(抽象)」

などなど。

さらに、それを友達に伝えるためには言葉にする必要がありますから、

絵という「言葉になっていないもの」を見ながら具体的に「言語化」することで、

より思考と五感が活発になり、

具体と抽象を行ったり来たりする思考も活発になりますよね。

つまり、、、

「自分の頭で考える」ということを、

絵画を使うと、「自然に」できるわけです。

そうです、絵画を使うと、

「自分の頭で考える」トレーニングができるわけなんですね。


これはアート知識がある人ができるということではなく、
全くアート知識がない方でもできます。

むしろアートについての知識がない方のほうが、思考は拡張されることは多いかと思います。

いかがでしょうか?

普段の生活で、「自分の頭で考えよ」と言われても、

どう考えたらいいのかわからないですよね。

絵画を使うとそれができるようになるわけです。

さらにもっと自分の頭で考えることを加速する方法としては、

自分一人で見るよりも、「複数人で絵画を見て対話をする」ことはとても有効的です。

自分の中になかった発想や、気づきに触れることができ、

思考が更新、拡張していきます。

つまり思い込みや偏見、バイアスといったものから解放され、

もっともっと頭が柔らかくなるわけです。

そう、地頭が良くなるわけです。

ぜひ、あなたも絵画をたくさん見て想いを巡らせ、考えを巡らせてみてください。

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